24%
阪神・淡路大震災 災害関連死の肺炎割合
日本で初めて『災害関連死』の概念が生まれた震災。単一の疾患として最多だったのが肺炎(24%)。
神戸新聞(足立了平, 日本プライマリ・ケア連合学会誌 2011 より)(2004年5月24日)

ORAL DISASTER PREPAREDNESS
阪神・淡路大震災——災害関連死で最も多かった疾患は、肺炎でした。
非常持出袋に、お口のケア用品をひとつ加えることから始められます
洗口液でのうがい、口腔ケアシートでの拭き取り、少量の水での歯磨きなど、限られた水でもできるケア方法があります。洗口液は、口に含んだものを自分で吐き出せない方には使わないでください。
義歯の紛失防止のため、就寝時は外して、ふた付きの容器に水を張って入れ、置き場所を毎回同じにしてください。口の乾きには、口腔用保湿ジェルをごく少量、薄く塗る工夫で楽になることがあります。塗る前に、前に塗ったジェルを必ず拭き取ってください。のどの奥や上あごの奥には塗らないでください。
保湿ジェルの使い方と注意(重ね塗りの危険)を読むとろみ剤があれば備蓄品に加えておくと役立ちます。ふだんの指示がある方は、そちらを優先してください。
日本は、世界でもっとも高齢化が進んだ国であり、有数の災害大国でもあります。そして日本の防災制度には、いまも埋められていない空白が残っています——災害時に「口」を守る仕組みです。
災害関連死は、避難生活の環境を改善することで減らしうる死です。国もまた、災害関連死の防止を政策課題として掲げ、体制づくりを都道府県に求めています。しかし、被災後の生活——避難所だけでなく、病院や介護施設、電気や水の止まった自宅——の中で口腔ケアを「誰が・何を使って・どのように行うか」の具体化は都道府県・市町村に委ねられており、それを実装できている自治体は、まだ一部にとどまります。
お口の防災プロジェクトは、この空白を埋めるために設立されました。教育、認定、備蓄、行政導入、エビデンス。個人の善意に頼るのではなく、仕組みとして社会に実装する。
そして、この空白は日本だけのものではありません。水が乏しい環境で避難生活を送る人々は、災害の被災地にも、紛争を逃れた先の難民キャンプやシェルターにも、同じようにいます。だからこそ私たちは、日本での社会実装を、いずれ国境を越えて手渡せる水準で設計します。
実績は、これからつくられます。だからこそ私たちは、設計と根拠のすべてを公開しながら進みます。
お口の防災とは、災害時に口腔の健康を守るための備えと対応の総称です。口腔ケア用品の備蓄、水が少ない環境での歯磨き・清拭の方法、義歯(入れ歯)の管理、口腔乾燥・嚥下への対策などを含みます。口腔の健康管理を全身の健康管理の一部として災害時にも継続することで、持病の悪化や、細菌性肺炎・インフルエンザなどの感染症、誤嚥性肺炎を含む肺炎のリスクを減らすことを目的とします。肺炎を含む呼吸器疾患は、大きな地震を伴う災害では災害関連死の3割近くを占めます。一般社団法人日本オーラルヘルス協会「お口の防災プロジェクト」が提唱・推進しています。
災害時の口腔ケア不足は、命に関わるリスクの連鎖を引き起こす可能性があります
口腔内の細菌が肺に入り炎症を起こす病気。災害時は口腔衛生の悪化と体力低下が重なり、リスクが高まります。
水分不足、緊張、環境変化で唾液が減少。口の中が乾くと細菌が繁殖しやすくなり、さまざまなトラブルの原因に。
「噛めない」状態が続くと食事量が減り、体力が落ちて低栄養につながるおそれがあります。避難時に義歯を持ち出せないケースが多く報告されています。
食べる機能が低下すると十分な栄養が摂れず、体力が落ちます。特に高齢者はその影響を受けやすい傾向にあります。
口腔衛生の悪化は、インフルエンザなどの感染症の温床となりえます。集団生活の避難所では特に注意が必要です。
口腔環境の悪化 → 嚥下機能の低下 → 誤嚥性肺炎・低栄養 → 体力低下・重症化。この連鎖のリスクを減らすことを目的に、日頃から口腔の健康を守るための備えをしておくことが必要です。
Evidence
いずれも出典を明記した数字です。
24%
阪神・淡路大震災 災害関連死の肺炎割合
日本で初めて『災害関連死』の概念が生まれた震災。単一の疾患として最多だったのが肺炎(24%)。
神戸新聞(足立了平, 日本プライマリ・ケア連合学会誌 2011 より)(2004年5月24日)
500+
能登半島地震 災害関連死
認定は516人と直接死228人の2倍を超えた(2026年7月時点・審査継続中)。
石川県「令和6年能登半島地震による人的・建物被害の状況について」第230報ほか・報道各社(2026年7月時点)
39%
歯科専門職が関わる口腔ケアによる肺炎発症率低下
特別養護老人ホームの入所者を対象とした2年間のランダム化比較試験。歯科専門職が関わる口腔ケアを続けた群で、肺炎の発症が少なかったと報告されている。
Yoneyama T, et al. Lancet (1999)
53%
歯科専門職が関わる口腔ケアによる肺炎死亡率低下
同研究(特別養護老人ホームの入所者が対象)で報告された、肺炎による死亡率の低下。検証されたのは歯科専門職が関わる口腔ケアの効果で、普段の歯磨きだけの効果を直接調べたものではない。
Yoneyama T, et al. Lancet (1999)
揺れや津波による「直接死」を、その後の避難生活で亡くなる「災害関連死」が上回る震災も起きています
阪神・淡路大震災1995
災害関連死は直接死の約0.17倍
東日本大震災2011
災害関連死は直接死の約0.24倍
熊本地震2016
災害関連死は直接死の約4.5倍
平成28年(2016年)熊本地震では、揺れで亡くなった方の4倍以上の人が、揺れを生き延びた後の避難生活の中で亡くなりました。
能登半島地震2024
災害関連死は直接死の約2.3倍(直接死を超過)
建物の耐震化は進み、直接死は減らせるようになった。しかし、避難生活の中で静かに進行する「第二の災害」への備えは、まだ制度になっていません。口腔の健康管理が途切れると、持病の悪化や感染症のリスクが高まります。なかでも肺炎を含む呼吸器疾患は、大きな地震を伴う災害では災害関連死の3割近くを占めてきました——口から始まりうる死です。
出典:消防庁・復興庁・熊本県・石川県 公表資料(災害関連死は認定数。時点により推移します)
食・水・衛生・医療は整備が進む一方、口腔ケアは制度的な空白が残っています
食
運用中水
運用中衛生
運用中医療
運用中口腔
未整備第1層:国の方針
「災害関連死の防止」は、国の防災政策の柱として掲げられています。
(防災基本計画 等)
第2層:ガイドラインの言及
国の避難所運営に関する指針は、被災者の健康管理の一項目として口腔衛生に触れています。しかし実施は、各避難所の裁量に委ねられています。
(内閣府『避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン』等)
第3層:現場の実装
誰が担うのか(担い手)。何を備えるのか(備蓄基準)。どう動くのか(訓練手順)。制度の設計上、この三点セットの具体化は都道府県・市町村に委ねられていますが、避難所・在宅避難・応急仮設住宅を含む被災後の生活で実装できている自治体は、まだ一部にとどまります。
口腔は、呼吸・嚥下・栄養・免疫——生命維持に直結します。方針はある。言及もある。足りないのは、現場で機能する「実装」です。お口の防災プロジェクトが担うのは、この最後の、しかし命に最も近い空白です。
教育・認定・備蓄・行政導入・エビデンスの5領域で包括的に取り組みます
基礎から実践まで体系化された学びの提供。市民にも専門職にも開かれたカリキュラム。
地域で活動できるアドバイザーの育成。3階層の認定制度を設計中。
個人用ポーチと避難所用セットの標準化。何を備えればよいかを明確に。
自治体の防災計画・訓練・要配慮者台帳への口腔ケアの組み込みを支援。
効果検証と継続的な改善。科学的根拠に基づく取り組みを推進。
お口の防災は、家庭・地域・自治体・専門職・学校・企業、みんなで進めるプロジェクトです
非常持出袋にお口のケア用品を。今日からできる備えをご紹介します。
詳しく見る義歯、口腔乾燥、むせ対策。ご家族の安心につながる備えを。
詳しく見る住民の健康リスク軽減をめざす、新しい防災の視点。小さく始められる導入支援。
詳しく見る専門知識を地域の防災力に。参画の方法をご案内します。
詳しく見る防災教育と保健教育の接点。子どもから家庭へ届く学びを。
詳しく見るCSR/ESG、健康経営、BCP。公益性を軸にした連携の形を。
詳しく見る議員・知事・首長の方へ。「災害関連死ゼロ」を政策に。
詳しく見るさまざまな立場の方が参画できる仕組みを整えています
基礎から実践まで学べるカリキュラムを準備中です(eラーニングでの提供を予定)。
監修、講師、地域での啓発活動など、専門知識を活かした参画の道。
学んだ知識を、防災訓練や地域の活動で活かせる仕組み。
導入支援パッケージで、防災計画への組み込みをサポート。
防災教育と保健教育をつなぐ教材と授業案。家庭への持ち帰りも。
CSR/ESG、BCP、地域連携。公益を軸にした多様な連携形態。
ベーシック(市民・多職種向け)、プロフェッショナル(医療従事者向け)、インストラクター(指導者向け)の3階層で、地域の担い手を育成する仕組みを準備しています。
口は、命の入口である。そして時に、命の出口にもなり得る。
2011年、東日本大震災。石巻市における震災関連死のうち、死因の26.9%が肺炎であったとされます——その多くは、誤嚥性肺炎と考えられています。歯ブラシがなかった。水がなかった。入れ歯を洗えなかった。避難所で、病院や介護施設で、そして電気も水も止まった自宅で——一見些細にも見える欠落の積み重ねは、肺炎や持病の悪化のリスクを高めると考えられています。
代表発起人・富田大介は、この現実を前に、災害歯科保健医療研究の第一線に立つ中久木康一(本プロジェクトの学術統轄)と対話を重ね、ひとつの決意に至ります。
次の大災害が発生したとき、すべての家庭の防災袋に口腔衛生用品が自然に備えられ、すべての避難所に歯ブラシがあり、病院や介護施設、在宅避難や車中泊の方々のもとにも口腔ケアが届き、すべての自治体に口腔の健康を守る担当者がいる。そのような社会を、私たちは今から準備しておかなければならない。
一般社団法人日本オーラルヘルス協会 代表理事/お口の防災プロジェクト 代表発起人・プロジェクト統轄 富田 大介
災害時の口腔ケアは、快適さのためだけのものではありません。持病の悪化や肺炎などのリスクを減らし、健康を守ることを目的とした備えです。
一人ひとりが学び、備え、地域で支え合える社会を目指します。
利権ではなく、エビデンスに基づく中立的な取り組みを貫きます。
本プロジェクトの統計引用・教材・公式見解は、学術統轄が最終学術責任を負う体制で運用しています。現在公開中の実務資料・Q&Aの多くは監修前の起草版・暫定案です。

学術統轄 / Chief Academic Officer
中久木 康一
Koichi Nakakuki, DDS, PhD
監修体制の3つの約束— プロジェクト運営が学術統轄に約束する運用原則
サイト上の統計・論文引用の正確性について年1回の全面レビュー
いかなる協賛企業の影響からも独立して判断する権限(優れた製品・取り組みは、協賛の有無にかかわらず根拠に基づいて採用する)
プロジェクト運営が公益に反すると判断した場合、是正を勧告する権限
※ 現在、9分野の学術評議会(Academic Board)の設置を進めています。
品質・権利保護・中立性を軸に、公益活動としての信頼性を確保します
学術的な監修体制の構築を進め、教材・カリキュラム・統計引用の質を確保します。
「お口の防災アドバイザー」の商標管理と認定品質の維持。更新制度の導入で質を担保。
特定企業・政党に偏らない運営。公益優先の厳格なスポンサー規約を設けます。
資料は「起草 → 学術監修 → 正式公開」の3段階で品質を管理しています。現在公開中の資料は学術監修前の「起草版(Web先行公開)」で、監修を経て正式版に更新します。
実務チームが一次資料に基づき作成
学術統轄が内容と出典をレビュー
出典を明記し、無料で配布
非常持出袋に入れる口腔ケア用品を、根拠とともに一枚に。
義歯・口腔乾燥・むせ対策を、介護の現場目線で。
防災計画への組み込み手順と備蓄基準の目安を具体的に。
JDAT・地域防災への関わり方と参画方法を。
授業案と家庭への持ち帰りワークシートを。
BCP・健康経営・CSR/ESGの文脈での連携メニューを。
すべて無料・Web閲覧と印刷に対応。学術監修の完了後、正式版に更新されます。
市民の方にも行政担当者の方にもお答えします
災害のときも歯みがきは必要ですか。ほかにやることが多くて後回しになっています
必要です。避難生活が続くと口の中の細菌が増えやすく、肺炎などの呼吸器の感染や口の中の炎症が起きやすくなると考えられています。完璧でなくてよいので、1日1回、寝る前だけでも続けてください。
詳しい答えを読む断水で水が使えません。歯磨きはどうすればよいですか
約30ml(紙コップに指1本分ほど)の水があれば歯磨きはできます。水は最初に全部使わず、すすぎ用に2〜3回に分けて使うのがコツです。
詳しい答えを読む非常持出袋(防災バッグ)に入れておく歯科用品は何ですか
歯ブラシ、口腔ケアシート(歯みがきシート)、洗口液の小分け、口腔保湿ジェルが基本です。義歯を使う方は義歯用品も加えてください。
詳しい答えを読む3つのステップをおすすめしています。まず、備蓄品に口腔ケア用品が含まれているか点検すること。次に、庁内の関係部署(防災・保健・福祉・介護)で情報を共有する勉強会を開くこと。そして、次回の防災訓練にお口のケアの要素を試験的に組み込むことです。いずれも大きな予算をかけずに始められます。
防災危機管理課を起点に、保健福祉課、高齢者福祉課、地域包括支援センター、学校教育課(学校保健)との連携が効果的です。口腔防災は複数部署にまたがるテーマですが、だからこそ住民の健康と安全を守る横断的な取り組みとして価値があります。
災害関連死は、避難生活の環境を改善することで減らしうる死です。
誤嚥性肺炎は、日本人の死因第6位(厚生労働省 令和2年 人口動態統計)。災害時は、このリスクが高まると考えられています。特別養護老人ホームで2年間行われた比較試験では、歯科専門職が関わる口腔ケアにより、肺炎の発症が約4割少なかったと報告されています(Yoneyama et al., The Lancet, 1999)。この研究が検証したのは施設での専門的ケアの効果であり、災害時やご家庭での歯磨きの効果を直接調べたものではありません。
足りないのは、こうした知見を社会に行き渡らせる仕組みです。この仕組みづくりは、始まったばかり。完成した制度に乗るのではなく、制度を最初につくる側に。あなたに合った一歩をお待ちしています。