本文へ移動⚠ いま被災されている方へ — 災害時のお口のケア(軽量版・約30mlの水でできる歯磨きなど)

ORAL DISASTER PREPAREDNESS

防災に、
お口の視点を。

阪神・淡路大震災——災害関連死で最も多かった疾患は、肺炎でした。

家庭の備え

今日からできる、お口の防災

非常持出袋に、お口のケア用品をひとつ加えることから始められます

個人用お口の防災ポーチ

  • 折りたたみ歯ブラシ・口腔ケアシート
  • 洗口液(小分けボトル)3日分
  • 口腔保湿ジェル・ワセリン
  • 義歯ケース・洗浄剤(必要な方)
  • 手指消毒・ウェットティッシュ
  • お口の健康手帳・説明書

水が少ないときの工夫

洗口液でのうがい、口腔ケアシートでの拭き取り、少量の水での歯磨きなど、限られた水でもできるケア方法があります。洗口液は、口に含んだものを自分で吐き出せない方には使わないでください。

高齢者・義歯利用者は特に注意

義歯の紛失防止のため、就寝時は外して、ふた付きの容器に水を張って入れ、置き場所を毎回同じにしてください。口の乾きには、口腔用保湿ジェルをごく少量、薄く塗る工夫で楽になることがあります。塗る前に、前に塗ったジェルを必ず拭き取ってください。のどの奥や上あごの奥には塗らないでください。

保湿ジェルの使い方と注意(重ね塗りの危険)を読む

むせやすい方への備え

とろみ剤があれば備蓄品に加えておくと役立ちます。ふだんの指示がある方は、そちらを優先してください。

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Mission

これは、啓発活動ではない。
制度の空白を埋める、社会実装である。

日本は、世界でもっとも高齢化が進んだ国であり、有数の災害大国でもあります。そして日本の防災制度には、いまも埋められていない空白が残っています——災害時に「口」を守る仕組みです。

災害関連死は、避難生活の環境を改善することで減らしうる死です。国もまた、災害関連死の防止を政策課題として掲げ、体制づくりを都道府県に求めています。しかし、被災後の生活——避難所だけでなく、病院や介護施設、電気や水の止まった自宅——の中で口腔ケアを「誰が・何を使って・どのように行うか」の具体化は都道府県・市町村に委ねられており、それを実装できている自治体は、まだ一部にとどまります。

お口の防災プロジェクトは、この空白を埋めるために設立されました。教育、認定、備蓄、行政導入、エビデンス。個人の善意に頼るのではなく、仕組みとして社会に実装する。

そして、この空白は日本だけのものではありません。水が乏しい環境で避難生活を送る人々は、災害の被災地にも、紛争を逃れた先の難民キャンプやシェルターにも、同じようにいます。だからこそ私たちは、日本での社会実装を、いずれ国境を越えて手渡せる水準で設計します。

実績は、これからつくられます。だからこそ私たちは、設計と根拠のすべてを公開しながら進みます。

「お口の防災」とは

お口の防災とは、災害時に口腔の健康を守るための備えと対応の総称です。口腔ケア用品の備蓄、水が少ない環境での歯磨き・清拭の方法、義歯(入れ歯)の管理、口腔乾燥・嚥下への対策などを含みます。口腔の健康管理を全身の健康管理の一部として災害時にも継続することで、持病の悪化や、細菌性肺炎・インフルエンザなどの感染症、誤嚥性肺炎を含む肺炎のリスクを減らすことを目的とします。肺炎を含む呼吸器疾患は、大きな地震を伴う災害では災害関連死の3割近くを占めます。一般社団法人日本オーラルヘルス協会「お口の防災プロジェクト」が提唱・推進しています。

Why

なぜ今、お口の防災なのか

災害時の口腔ケア不足は、命に関わるリスクの連鎖を引き起こす可能性があります

誤嚥性肺炎

口腔内の細菌が肺に入り炎症を起こす病気。災害時は口腔衛生の悪化と体力低下が重なり、リスクが高まります。

口腔乾燥

水分不足、緊張、環境変化で唾液が減少。口の中が乾くと細菌が繁殖しやすくなり、さまざまなトラブルの原因に。

義歯の紛失・破損

「噛めない」状態が続くと食事量が減り、体力が落ちて低栄養につながるおそれがあります。避難時に義歯を持ち出せないケースが多く報告されています。

低栄養

食べる機能が低下すると十分な栄養が摂れず、体力が落ちます。特に高齢者はその影響を受けやすい傾向にあります。

感染症リスク

口腔衛生の悪化は、インフルエンザなどの感染症の温床となりえます。集団生活の避難所では特に注意が必要です。

課題の連鎖

口腔環境の悪化 → 嚥下機能の低下 → 誤嚥性肺炎・低栄養 → 体力低下・重症化。この連鎖のリスクを減らすことを目的に、日頃から口腔の健康を守るための備えをしておくことが必要です。

Evidence

命の数字

いずれも出典を明記した数字です。

24%

阪神・淡路大震災 災害関連死の肺炎割合

日本で初めて『災害関連死』の概念が生まれた震災。単一の疾患として最多だったのが肺炎(24%)。

神戸新聞(足立了平, 日本プライマリ・ケア連合学会誌 2011 より)(2004年5月24日)

500+

能登半島地震 災害関連死

認定は516人と直接死228人の2倍を超えた(2026年7月時点・審査継続中)。

石川県「令和6年能登半島地震による人的・建物被害の状況について」第230報ほか・報道各社(2026年7月時点)

39%

歯科専門職が関わる口腔ケアによる肺炎発症率低下

特別養護老人ホームの入所者を対象とした2年間のランダム化比較試験。歯科専門職が関わる口腔ケアを続けた群で、肺炎の発症が少なかったと報告されている。

Yoneyama T, et al. Lancet (1999)

53%

歯科専門職が関わる口腔ケアによる肺炎死亡率低下

同研究(特別養護老人ホームの入所者が対象)で報告された、肺炎による死亡率の低下。検証されたのは歯科専門職が関わる口腔ケアの効果で、普段の歯磨きだけの効果を直接調べたものではない。

Yoneyama T, et al. Lancet (1999)

Shift

災害のかたちは、変わった

揺れや津波による「直接死」を、その後の避難生活で亡くなる「災害関連死」が上回る震災も起きています

阪神・淡路大震災1995

災害関連死は直接死の約0.17倍

直接死 5,483人
災害関連死 919人(兵庫県内の認定)

東日本大震災2011

災害関連死は直接死の約0.24倍

直接死 15,900人
災害関連死 3,800人(2023年時点)

熊本地震2016

災害関連死は直接死の約4.5倍

直接死 50人
災害関連死 225人(2025年4月時点)

平成28年(2016年)熊本地震では、揺れで亡くなった方の4倍以上の人が、揺れを生き延びた後の避難生活の中で亡くなりました。

能登半島地震2024

災害関連死は直接死の約2.3倍(直接死を超過)

直接死 228人
災害関連死 516人(石川・新潟・富山、2026年7月時点)

建物の耐震化は進み、直接死は減らせるようになった。しかし、避難生活の中で静かに進行する「第二の災害」への備えは、まだ制度になっていません。口腔の健康管理が途切れると、持病の悪化や感染症のリスクが高まります。なかでも肺炎を含む呼吸器疾患は、大きな地震を伴う災害では災害関連死の3割近くを占めてきました——口から始まりうる死です。

出典:消防庁・復興庁・熊本県・石川県 公表資料(災害関連死は認定数。時点により推移します)

Solution

5つの柱で、お口の防災を社会に実装する

教育・認定・備蓄・行政導入・エビデンスの5領域で包括的に取り組みます

01

教育

基礎から実践まで体系化された学びの提供。市民にも専門職にも開かれたカリキュラム。

02

認定・担い手育成

地域で活動できるアドバイザーの育成。3階層の認定制度を設計中。

03

備蓄・キット

個人用ポーチと避難所用セットの標準化。何を備えればよいかを明確に。

04

行政導入

自治体の防災計画・訓練・要配慮者台帳への口腔ケアの組み込みを支援。

05

エビデンス

効果検証と継続的な改善。科学的根拠に基づく取り組みを推進。

参画

学ぶ、関わる、広げる

さまざまな立場の方が参画できる仕組みを整えています

市民が学べる

基礎から実践まで学べるカリキュラムを準備中です(eラーニングでの提供を予定)。

専門職が関われる

監修、講師、地域での啓発活動など、専門知識を活かした参画の道。

地域で広げられる

学んだ知識を、防災訓練や地域の活動で活かせる仕組み。

自治体と連携できる

導入支援パッケージで、防災計画への組み込みをサポート。

学校で教えられる

防災教育と保健教育をつなぐ教材と授業案。家庭への持ち帰りも。

企業も協力できる

CSR/ESG、BCP、地域連携。公益を軸にした多様な連携形態。

制度設計中

お口の防災アドバイザー認定制度

ベーシック(市民・多職種向け)、プロフェッショナル(医療従事者向け)、インストラクター(指導者向け)の3階層で、地域の担い手を育成する仕組みを準備しています。

Founder's Voice

口は、命の入口である。そして時に、命の出口にもなり得る。

2011年、東日本大震災。石巻市における震災関連死のうち、死因の26.9%が肺炎であったとされます——その多くは、誤嚥性肺炎と考えられています。歯ブラシがなかった。水がなかった。入れ歯を洗えなかった。避難所で、病院や介護施設で、そして電気も水も止まった自宅で——一見些細にも見える欠落の積み重ねは、肺炎や持病の悪化のリスクを高めると考えられています。

代表発起人・富田大介は、この現実を前に、災害歯科保健医療研究の第一線に立つ中久木康一(本プロジェクトの学術統轄)と対話を重ね、ひとつの決意に至ります。

次の大災害が発生したとき、すべての家庭の防災袋に口腔衛生用品が自然に備えられ、すべての避難所に歯ブラシがあり、病院や介護施設、在宅避難や車中泊の方々のもとにも口腔ケアが届き、すべての自治体に口腔の健康を守る担当者がいる。そのような社会を、私たちは今から準備しておかなければならない。

一般社団法人日本オーラルヘルス協会 代表理事/お口の防災プロジェクト 代表発起人・プロジェクト統轄 富田 大介

OUR PROMISE

私たちの約束

「食べる力」と「命」を守る

災害時の口腔ケアは、快適さのためだけのものではありません。持病の悪化や肺炎などのリスクを減らし、健康を守ることを目的とした備えです。

専門職だけでなく、市民と共に

一人ひとりが学び、備え、地域で支え合える社会を目指します。

公益と科学性を最優先する

利権ではなく、エビデンスに基づく中立的な取り組みを貫きます。

Academic Integrity

すべての数字と教材に、学術の最終責任者がいます

本プロジェクトの統計引用・教材・公式見解は、学術統轄が最終学術責任を負う体制で運用しています。現在公開中の実務資料・Q&Aの多くは監修前の起草版・暫定案です。

中久木 康一 のポートレイト

学術統轄 / Chief Academic Officer

中久木 康一

Koichi Nakakuki, DDS, PhD

  • 東北大学 大学院 歯学研究科 災害・環境歯学研究センター 特任講師
  • 東京科学大学 大学院 医歯学総合研究科 救急災害医学分野 非常勤講師
  • 厚生労働科学研究費補助金「大規模災害時における歯科保健医療の健康危機管理体制の構築に関する研究」研究代表者(平成19〜21年度)
  • 『災害歯科医学』(医歯薬出版)共編
  • 東日本大震災後の被災地で8年間・平成28年(2016年)熊本地震後の被災地で3年間、地域歯科保健の再構築に従事
  • JDAT(日本災害歯科支援チーム)研修会の構築と展開を主導(2018年〜)

監修体制の3つの約束— プロジェクト運営が学術統轄に約束する運用原則

01

年1回の全面レビュー

サイト上の統計・論文引用の正確性について年1回の全面レビュー

02

協賛からの独立

いかなる協賛企業の影響からも独立して判断する権限(優れた製品・取り組みは、協賛の有無にかかわらず根拠に基づいて採用する)

03

是正勧告の権限

プロジェクト運営が公益に反すると判断した場合、是正を勧告する権限

※ 現在、9分野の学術評議会(Academic Board)の設置を進めています。

Governance

信頼を支える3つの柱

品質・権利保護・中立性を軸に、公益活動としての信頼性を確保します

品質担保

学術的な監修体制の構築を進め、教材・カリキュラム・統計引用の質を確保します。

権利保護

「お口の防災アドバイザー」の商標管理と認定品質の維持。更新制度の導入で質を担保。

中立性

特定企業・政党に偏らない運営。公益優先の厳格なスポンサー規約を設けます。

FAQ

よくあるご質問

市民の方にも行政担当者の方にもお答えします

災害時のお口のケア

自治体・行政担当者の方へ

自治体として、まず何から始めればいいですか?

3つのステップをおすすめしています。まず、備蓄品に口腔ケア用品が含まれているか点検すること。次に、庁内の関係部署(防災・保健・福祉・介護)で情報を共有する勉強会を開くこと。そして、次回の防災訓練にお口のケアの要素を試験的に組み込むことです。いずれも大きな予算をかけずに始められます。

どの部署が担当するのが適切ですか?

防災危機管理課を起点に、保健福祉課、高齢者福祉課、地域包括支援センター、学校教育課(学校保健)との連携が効果的です。口腔防災は複数部署にまたがるテーマですが、だからこそ住民の健康と安全を守る横断的な取り組みとして価値があります。

災害関連死は、避難生活の環境を改善することで減らしうる死です。

防災に、お口の視点を。

誤嚥性肺炎は、日本人の死因第6位(厚生労働省 令和2年 人口動態統計)。災害時は、このリスクが高まると考えられています。特別養護老人ホームで2年間行われた比較試験では、歯科専門職が関わる口腔ケアにより、肺炎の発症が約4割少なかったと報告されています(Yoneyama et al., The Lancet, 1999)。この研究が検証したのは施設での専門的ケアの効果であり、災害時やご家庭での歯磨きの効果を直接調べたものではありません。

足りないのは、こうした知見を社会に行き渡らせる仕組みです。この仕組みづくりは、始まったばかり。完成した制度に乗るのではなく、制度を最初につくる側に。あなたに合った一歩をお待ちしています。