避難生活で口が乾いてつらいです
この回答は暫定案です。専門家の確認を受けていません。判断に迷うときは、必ず医療者にご相談ください。
答え
口の乾きは、痛み・口臭・飲み込みにくさにつながります。まず、トイレを気にして水分を我慢しないでください。ただし、心臓・腎臓(透析を含む)・肝臓の病気などで主治医から飲水量を指示されている方は、その指示を優先してください。そのうえで、水を少量ずつ口に含む、マスクをつける、口腔用保湿ジェルを薄く塗る、といった工夫で楽になることがあります。ガムは、むせやすい方・飲み込みに不安のある方・認知症のある方・自分で口の中のものを出せない方・小さなお子さんには使わないでください。窒息につながります。
次のようなときは、すぐに医療者へ連絡してください
- ガム・食べ物・保湿ジェルの塊などが口やのどに詰まり、息が苦しそう、声が出ない、顔色が悪い(ただちに周囲の人を呼び、119番)
- 水を飲んでも乾きがおさまらず、尿がほとんど出ない、ぼんやりして呼びかけへの反応が鈍い(脱水の疑い。救護所へ)
- 飲水量を制限されている方で、足のむくみ・体重増加・息苦しさ・横になると苦しいなどが出てきた(すぐに救護班・主治医へ)
- 痛みや腫れで水も飲み込めない、口の中や舌に白い苔状のものや広い潰瘍がある、発熱を伴う(救護所・歯科班へ)
避難所にいる方は救護班・保健師へ。判断に迷うときは119番に連絡してかまいません。
水分を我慢しないでください(ただし、飲水量を指示されている方は主治医の指示が優先)
トイレを気にして水分をひかえると、脱水や、動かずにいることで起こる血栓(いわゆるエコノミークラス症候群)のリスクが高まります。飲む水は削らないでください。ただし、心臓の病気・腎臓の病気(透析を受けている方を含む)・肝臓の病気(腹水がある方など)で、主治医から飲水量を指示されている方は、その指示を優先してください。自己判断で水を増やすと、体に水がたまり、むくみや息苦しさ(溢水・肺水腫)を招くことがあります。
ガムは、使ってよい人が限られます
噛むことは唾液が出るきっかけになるといわれますが、次の方には使わないでください。むせやすい方、飲み込みに不安のある方(嚥下機能が低下している方)、認知症のある方、自分で口の中のものを出せない方、介助が必要な方、小さなお子さん。飲み込んでしまったり、口の中に残ったガムがのどに詰まったりすると、窒息につながります。避難所は見守りの手が足りないことが多いため、迷うときは使わない選択をしてください。
保湿ジェルの使い方と、重ね塗りの危険
1回にとる量はごく少量(米粒から小豆大ほど)です。指や綿棒、スポンジブラシにとり、舌や頬の内側に薄く伸ばします。塗る前に、前に塗ったジェルを湿らせたガーゼやスポンジブラシで必ず拭き取ってください。拭き取らずに重ね塗りを続けると、乾いて固まったジェルがはがれ、のどに落ちて誤嚥や窒息の原因になることがあります。のどの奥や上あごの奥には塗らないでください。むせやすい方は、ごく少量から始めて様子をみてください。
詳しい説明を読む
避難生活では、水分をひかえること・ストレス・薬の副作用などが重なって、唾液が減ることがあります。唾液には、細菌や汚れを洗い流し、粘膜を守るはたらきがあります。ここで紹介するのは、口腔ケアの現場で広く行われている工夫で、避難生活での効果を数値で示した研究が確認できているものではありません。
飲む量を増やせない方の乾き対策
飲水量を制限されている方は、「飲む」のではなく「口の中を潤す」方法で対処します。水を少量だけ口に含み、口全体に行き渡らせてから吐き出す/口腔用保湿ジェルを薄く塗る/濡らしたガーゼやスポンジブラシで口の中をやさしく湿らせる、などです。小さな氷を口に含む方法もありますが、むせやすい方や見守りのない場面では使わないでください。息苦しさ・むくみが出たとき、飲んでよい量がわからないときは、救護班や薬剤師にお薬手帳を見せて相談してください。
- 水やお茶を少量ずつ、こまめに口に含む。口全体に行き渡らせてから飲み込むと、楽に感じることがあります
- マスクをつける。吐く息の湿り気が口元にとどまるため、冬の避難所のように空気が乾いた場所では乾きが楽になることがあります
- 口腔用保湿ジェルを薄く塗る(使い方と注意は下の枠を必ずお読みください)
- 唇が乾いて切れるときは、リップクリームやワセリンを薄く塗る
- 口の中がひどく乾いているときは、いきなり歯ブラシを入れず、先に水や保湿ジェルで湿らせてから磨くと、粘膜を傷つけにくくなります
- 口で呼吸していると乾きやすくなります。鼻づまりが続くとき、寝ている間に口が開いてしまうときは、救護所で相談してください
介助してケアを行うとき
他の方の口の中に触れるときは、必ずご本人に声をかけ、目が覚めていて座った姿勢がとれる状態で行ってください。嫌がるとき、口を開けたがらないときは中断します。無理に口をこじ開けないでください。介助の基本は「誰かの口のケアを手伝うとき」の項目もあわせてご覧ください。
入れ歯を使っている方へ
口が乾くと、入れ歯と歯ぐきがこすれて痛みが出ることがあります。乾いた粘膜とのこすれをやわらげる目的で、入れ歯の歯ぐきに触れる面に口腔用保湿ジェルを薄く塗る方法がとられることがあります。ただし、口腔用保湿ジェルは入れ歯を固定するためのもの(義歯安定剤)ではなく、その代わりにはなりません。入れ歯がゆるい・外れる・当たって傷ができるときは、歯科医療者や巡回の歯科班に相談してください。ジェルは塗りすぎず、薄く伸ばしてください。
唾液腺マッサージについて
耳の前や顎の下をマッサージする方法が慣習的に紹介されていますが、脱水のあるときにどれだけ唾液が増えるのか、臨床的にどの程度意味があるのかは明確ではありません。行う場合も、水分補給や保湿の代わりにはなりません。痛みや腫れがあるところは触らないでください。
薬の副作用で口が乾くことがありますが、自己判断で薬をやめたり減らしたりしないでください。お薬手帳を持って、救護班・薬剤師・主治医に相談してください。
この回答の根拠
- 根拠の種類:
- 慣習的に行われていますが、根拠や臨床的意義は明確ではありません
- 監修の状態:
- 暫定案です。専門家の確認を受けていません
- 最終更新:
- 2026-08-01
分かっていないこと:【要専門家確認】この項目には、既存の公開資料からの再構成にとどまらない実務上の工夫(マスクの着用、入れ歯の粘膜面への保湿ジェル使用、ガムの可否、歯みがき前に口を潤す手順)が含まれます。歯科・摂食嚥下の専門家の確認を受けるまでは暫定の内容として扱ってください。唾液腺マッサージは従来から慣習的にすすめられてきましたが、災害時の脱水状態における効果や臨床的意義を示す十分な根拠は確認できていません。マスク・保湿ジェルによる乾燥対策も、口腔ケアの実務で広く行われている工夫であり、避難生活での効果を数値で示した研究に基づくものではありません。飲水量は持病により制限されることがあり、本項目は主治医の指示に優先しません。薬の副作用で口が乾いている場合も、自己判断で薬をやめず医療者に相談してください。
参考にした資料
- 災害時のお口のケア(緊急ガイド)(お口の防災プロジェクト/一般社団法人 日本オーラルヘルス協会)
- 被災地での健康を守るために(厚生労働省)
- 災害時の口腔ケア・歯科治療に関するQ&A(論点の参考)(日本口腔ケア学会/HDC)
関連する質問
この情報は一般的な内容です。個々の症状の診断や治療方針を示すものではありません。 判断に迷うときは、医療者にご相談ください。緊急の場合は119番へ。