飲み込む力が弱っている方の災害への備え
この内容は暫定案です。専門家の確認を受けていません。判断に迷うときは、必ず医療者にご相談ください。
どのような方が対象か
食事中にむせる、食後に声がかすれる、食べ物が口の中に残るといったことがある方と、その介助をされる方です。ふだんからとろみをつけた飲み物や、やわらかい食事を使っている方も含みます。
すぐに医療者へ連絡してください
- 食事中・食後に強くむせ、そのあとに熱が出た
- 痰がからむ、息づかいが荒い、ぐったりしている
- 水も飲み込めない
災害時に起こりやすいこと
- 避難所で配られる食事が、かたい・水分が少ない・まとまりにくいものに偏る
- 床に座って食べるため、あごが上がってむせやすい姿勢になる
- とろみ剤や介護食が手に入らない
- 口の中が汚れたまま、唾液が気管に入ることがある
- むせるのを気にして食事量が減り、体力が落ちる
発災前に準備しておくもの
- とろみ剤(少量でも役立ちます)
- レトルトのやわらかい食品・介護食
- 口腔ケアシート、スポンジブラシ
- ふだんの食事形態が分かるメモ(支援者に伝えるため)
発災直後に確認すること
- ふだんの食事形態を、救護班・保健師に伝える
- とろみ剤が手元にあるかを確認する
避難所での注意
- 食器の高さを台や箱で上げ、あごを引いた姿勢で食べられるようにする
- 配られた食品がそのまま食べにくいときは、汁物に浸す・つぶすなどの工夫をする
- 食べられない状態が続くときは、遠慮せず救護班に伝える
自宅で避難するときの注意
- 支援が届きにくい場所です。市町村の窓口や訪問のサービスに、食事に困っていることを伝える
ご家族・介助される方が行うこと
- 一口量を減らし、固形物と水分を交互にとってもらう
- 食事の前後に、口の中に食べ物が残っていないかを見る
- むせながら食べ続けさせない
- 1日1回は、寝る前の口のケアをていねいに行う
やってはいけないこと
- むせているのに無理に食べさせる
- あごが上がった姿勢のまま食べさせる
- うがいができない方に、無理に水を含ませる
歯科医療者に相談する目安
- 食事中のむせが増えた
- 食べる量が急に減った
- 口の中に食べ物が残るようになった
関連する質問
- 避難生活で口が乾いてつらいです口の乾きは、痛み・口臭・飲み込みにくさにつながります。まず、トイレを気にして水分を我慢しないでください。ただし、心臓・腎臓(透析を含む)・肝臓の病気などで主治医から飲水量を指示されている方は、その指示を優先してください。そのうえで、水を少量ずつ口に含む、マスクをつける、口腔用保湿ジェルを薄く塗る、といった工夫で楽になることがあります。ガムは、むせやすい方・飲み込みに不安のある方・認知症のある方・自分で口の中のものを出せない方・小さなお子さんには使わないでください。窒息につながります。
- 経口補水液は自分で作れますか。作り方を教えてください市販の経口補水液が手に入るなら、まずそちらを使ってください。手に入らないときは、飲める水1リットルに砂糖40グラム(大さじ約4杯半)と食塩3グラム(小さじ約2分の1)を溶かす作り方が知られています。分量は必ず守り、塩は塩化カリウムを含む減塩タイプではなく、ふつうの食塩を使ってください。意識がはっきりしない方、ぐったりしている方、飲むとすぐ吐いてしまう方には、口から飲ませないでください。乳幼児、腎臓や心臓に持病がある方、透析を受けている方、水分や塩分の制限を受けている方は、飲む前に必ず医療者に相談してください。
- うがいの水が少ししかありません。効果的な使い方はありますか自分でうがいができ、水をきちんと吐き出せる方であれば、同じ量の水でも一度に多く含むより、少量ずつ含んで吐き出すほうが汚れを外に出しやすいと考えられています。たとえば30mlなら、15mlずつ2回に分けます。むせやすい方、寝たままの方、自分で吐き出せない方には無理にうがいをさせず、口の中の拭き取りに切り替えてください。うがいは歯みがきや拭き取りの代わりにはなりません。
- うがい薬がありません。口の中をすすぐのに代わりに使えるものはありますか洗口液(マウスウォッシュ)や液体ハミガキは、口の中をすすぐ目的であれば当面の代わりになります。ただし、のどを対象とするうがい薬とは目的が異なり、のどの症状への置き換えにはなりません。手指消毒用の製品は口に使わないでください。何も無ければ、水だけで口をすすぐことにも意味があると考えられています。口に含んだものを自分で吐き出せない方には使わないでください。
- 避難生活で誤嚥性肺炎を防ぐにはどうすればよいですか口の中を清潔に保つこと、食べるときの姿勢を整えること、むせやすい食品を避けることが基本です。1日1回しかできないときは、寝る前のケアを選んでください。
- 飲み込む力が弱った家族に、避難所の食事で気をつけるものはありますかパン・餅・のり・ゆで卵など、口の中でまとまりにくいもの、貼りつくもの、水分の少ないものに注意してください。ふやかす・つぶす・とろみをつけるといった工夫が有効です。
- 自分でうがいができない家族の口のケアは、具体的にどうやればよいですかいちばん大事なのは、落とした汚れを口の中に残さず、外に出すことです。始める前にできるかぎり上半身を30度以上起こし、うがいができる方には少量の水を含んでもらい、必ず吐き出してもらいます。うがいができない方は、水は歯ブラシを湿らせる程度にとどめ、ブラシに付いた汚れをそのつど口の外でティッシュやガーゼに拭き取ってください。ティッシュやガーゼを口の中に置いたままにしてはいけません。安全なやり方はその方の状態によって変わるため、普段の介助方法を担当の医療者・介護職に確認してください。
- 経管栄養のチューブが詰まりやすいです。どうすればよいですかこの項目は医療者・介護者向けです。詰まりを防ぐ基本は、栄養剤を注入したあとに十分な量の水でチューブを洗い流す(フラッシュする)ことです。水の量や手順は、必ず担当の医療者・訪問看護師の指示に従ってください。チューブが詰まったときに無理な力で押し込むこと、抜けたチューブを自分で入れ直すことは、絶対にしないでください。
- 避難生活で、特に口のケアに気をつけたほうがよいのはどんな人ですか自分では歯みがきができない方、飲み込む力が弱った方、以前に肺炎で入院したことのある高齢者は、特に気をつけてください。介助してくれる人がいるかどうかを、避難生活の早いうちに確認しておくと安心です。
この内容について
- 監修の状態:
- 暫定案です。専門家の確認を受けていません
- 最終更新:
- 2026-08-01
分かっていないこと:【要専門家確認】姿勢の整え方や食事形態の工夫は、災害支援の実務で共有されている知見をまとめたもので、監修者の確認を受けていません。個々の方に合う方法は、飲み込みの状態によって変わります。ふだんの指示がある方は、そちらを優先してください。
参考にした資料
- 高齢者・介護者向け 備えガイド(お口の防災プロジェクト/一般社団法人 日本オーラルヘルス協会)
- 災害時のお口のケア(緊急ガイド)(お口の防災プロジェクト/一般社団法人 日本オーラルヘルス協会)
この情報は一般的な内容です。個々の症状の診断や治療方針を示すものではありません。 判断に迷うときは、医療者にご相談ください。緊急の場合は119番へ。