総入れ歯を使っている方の災害への備え
この内容は暫定案です。専門家の確認を受けていません。判断に迷うときは、必ず医療者にご相談ください。
どのような方が対象か
上あご、下あご、またはその両方が総入れ歯(総義歯)の方と、そのご家族・介助される方です。
すぐに医療者へ連絡してください
- 口の中がひどく腫れている
- 口が開けにくい、飲み込みにくい
- 発熱をともなう痛み
災害時に起こりやすいこと
- 紛失・破損すると噛めなくなり、食事量が減って低栄養につながる
- 外したままの期間が長引くと、あごや噛み合わせが変わって新しい義歯も作りにくくなる
- 人前で外すことに抵抗があり、手入れを控えてしまう
- 水が足りず、洗浄剤も手に入らない
- 避難所の洗面所で取り違えたり、置き場所を忘れたりする
発災前に準備しておくもの
- フタが密閉できる容器(水がこぼれないもの)。食品用の密封容器が実用的です
- 義歯洗浄剤と義歯用ブラシ
- 容器に油性ペンで氏名を書いておく
- かかりつけ歯科医院の連絡先と、義歯を作った時期の記録
- 予備の義歯があれば、持ち出し袋に入れておく
発災直後に確認すること
- 義歯が手元にあるかを確認する
- 割れ・ひび・変形がないかを見る
- なくした・壊れた場合は、その日のうちに救護班・保健師に伝える
避難所での注意
- 人目が気になるときは、混む時間を避ける、タオルで手元を隠すなどして手入れの時間を確保する
- 洗面所に置きっぱなしにしない
- 食事の形態が合わないときは、遠慮せず伝える
自宅で避難するときの注意
- 水が乏しくても、1日1回は外して拭き取る
- 困っていることを、市町村の窓口や訪問のサービスに伝える
ご家族・介助される方が行うこと
- 義歯を持ち出せているか、洗えているかを具体的に確認する
- 「食べられていますか」と聞き、噛めているかを確かめる
- ティッシュに包んで置いていないか見る(捨てられる事故が最も多い)
やってはいけないこと
- 熱湯で消毒する(変形します)
- 塩素系漂白剤の原液に漬ける(変質します)
- 乾いたまま放置する(ひび割れ・変形の原因になります)
- 研磨剤入りの歯みがき粉で磨く(細かい傷がつき、汚れが付きやすくなります)
- 自分で削る・曲げる・接着剤で固める
歯科医療者に相談する目安
- 合わなくなってきた、当たって痛い
- 割れた、ひびが入った
- なくした
- 外したままの状態が続いている
関連する質問
- 避難生活で口が乾いてつらいです口の乾きは、痛み・口臭・飲み込みにくさにつながります。まず、トイレを気にして水分を我慢しないでください。ただし、心臓・腎臓(透析を含む)・肝臓の病気などで主治医から飲水量を指示されている方は、その指示を優先してください。そのうえで、水を少量ずつ口に含む、マスクをつける、口腔用保湿ジェルを薄く塗る、といった工夫で楽になることがあります。ガムは、むせやすい方・飲み込みに不安のある方・認知症のある方・自分で口の中のものを出せない方・小さなお子さんには使わないでください。窒息につながります。
- 避難生活でも、よく噛んで食べたほうがよいですかむせずに普段どおり食べられている方は、一口を少なめにして、ゆっくりよく噛んでください。噛むと唾液が出て、口の中がうるおい、飲み込みやすくなります。ただし、噛むことは歯みがきや水分補給の代わりにはなりません。むせやすい方・飲み込む力が弱っている方・認知症のある方・小さなお子さんには、ガムや噛みごたえのあるものを無理にすすめないでください。
- 避難所で口臭が気になります。どうすればよいですか避難生活での口臭には、口の汚れと乾きが関係していると考えられています。歯ブラシで汚れを落とす、口をすすぐ、乾きを防ぐ——これらは多くの場合、まず試していただきたい対処です。歯みがき剤がなくても、歯ブラシを水で濡らして磨くだけで構いません。うがいが難しい方は無理にすすがず、汚れを口の外に拭き取ってください。血液をさらさらにする薬を飲んでいる方は、やわらかい歯ブラシで力を入れずに磨いてください。
- 入れ歯をなくしてしまいました。どうすればよいですか「ないまま我慢」がいちばん危険です。避難所の救護班・保健師に「入れ歯をなくした」と必ず申し出てください。噛めない状態が続くと食事量が減り、低栄養につながります。
- 入れ歯が壊れました。自分で直してもよいですか接着剤などで自分で修理しないでください。かえって修理できなくなることがあります。破片もすべて保管したうえで、救護班・保健師または歯科医療者に相談してください。
- 義歯洗浄剤がありません。入れ歯の手入れはどうすればよいですかできれば毎食後、少なくとも1日1回は必ず外して洗ってください。口に入れたままでは汚れは落ちません。水が足りないときは、清潔なガーゼや口腔用のウェットシート(アルコールの入っていないもの)で拭うだけでもかまいません。熱湯と塩素系漂白剤は、薄めても使わないでください。痛み・腫れ・出血があるときは早めに救護班や歯科医療者に相談してください。
- 避難生活で入れ歯が合わなくなってきました合わないまま我慢して使い続けないでください。まず入れ歯の内側(歯ぐきに当たる面)に食べかすが付いていないか確かめ、清潔にしてから入れ直してみてください。多くの場合、まず試していただきたい対処です。それでも当たりや痛みが続くとき、歯ぐきに傷・腫れ・膿があるときは、食事のとき以外は外して休ませ、早めに救護班・保健師・歯科医療者に相談してください。
- 口内炎ができて痛いです。どうすればよいですか多くの口内炎は1〜2週間ほどで自然に治ると考えられています。まずは口の中を清潔に保ち、乾燥を防ぎ、しみるものを避けてください。ただし、2週間以上治らない、だんだん大きくなる、出血する場合は別の病気の可能性があるため、必ず歯科・医療者に相談してください。がんの治療中の方、免疫を抑える薬やステロイドを飲んでいる方、血液の病気や糖尿病のある方は、2週間を待たず早めに相談してください。塗り薬は、手元の市販薬を添付文書の用法・対象年齢どおりに使う範囲にとどめ、ステロイドを含むものや他の人に処方された薬は自己判断で使わないでください。
- 避難生活で、特に口のケアに気をつけたほうがよいのはどんな人ですか自分では歯みがきができない方、飲み込む力が弱った方、以前に肺炎で入院したことのある高齢者は、特に気をつけてください。介助してくれる人がいるかどうかを、避難生活の早いうちに確認しておくと安心です。
- 義歯ケースがありません。入れ歯は何に入れて保管すればよいですかフタがしっかり閉まり、水がこぼれない容器であれば代用できます。食品用の密封できる容器(パチッと留まるもの)が実用的です。乾燥させないよう水を張ってください。
- 入れ歯を使っています。何を備えておけばよいですかフタが密閉できる容器(水がこぼれないもの)、義歯洗浄剤、義歯用ブラシを備えてください。容器には油性ペンで氏名を書いておくと、避難所での取り違えを防げます。
この内容について
- 監修の状態:
- 暫定案です。専門家の確認を受けていません
- 最終更新:
- 2026-08-01
分かっていないこと:【要専門家確認】義歯が飲み込む動作にも関わること、長く外したままだと入りにくくなることについて、監修者の確認を受けていません。手入れの方法と頻度は災害支援の実務で共有されている知見に基づくもので、比較試験によって確かめられたものではありません。
参考にした資料
- 高齢者・介護者向け 備えガイド(お口の防災プロジェクト/一般社団法人 日本オーラルヘルス協会)
- 災害時のお口のケア(緊急ガイド)(お口の防災プロジェクト/一般社団法人 日本オーラルヘルス協会)
この情報は一般的な内容です。個々の症状の診断や治療方針を示すものではありません。 判断に迷うときは、医療者にご相談ください。緊急の場合は119番へ。