お口の防災プロジェクト一般社団法人 日本オーラルヘルス協会
RESOURCES 02 — 高齢者ご本人・ご家族・介護職向け高齢者・介護者向け 備えガイド
入れ歯・とろみ剤・保湿ジェルなど、高齢の方の避難生活に向けた「お口の備え」をまとめた実務ガイドです。
9割阪神・淡路大震災の災害関連死のうち60歳以上が占めた割合
53%低下高齢者施設での専門的口腔ケアによる肺炎死亡率の低下(発症率は39%低下)
約4.5倍熊本地震(2016)の災害関連死225人は、直接死50人の約4.5倍にのぼりました
出典:神戸新聞(2004)/Yoneyama et al., The Lancet, 1999/内閣府・自治体公表資料
義歯(入れ歯)の防災チェック
- 就寝時は外して、フタ付きケースに水を張って保管。置き場所は枕元に固定
- ティッシュに包んで置くのは厳禁誤って捨てられる・踏んで割れる事故が起こりやすい
- 避難用は水が漏れない食品用の密封容器か、二重にしたジッパー付き保存袋で
- 作り替えで不要になった古い義歯は、予備として非常持出袋へ
- ケースに油性ペンで氏名を書く(避難所での取り違え・紛失防止)
- 「メガネ・お薬手帳・入れ歯」を1つのポーチにまとめておく
むせを防ぐ食事の工夫
- 床置きの食事は避け、椅子や台に腰かけて姿勢を整え、あごを引いて食べる
- 一口はティースプーン1杯程度。飲み込んでから次の一口へ
- 食後すぐに横にならない
- 注意したい避難食:乾パン(パサつく)・餅(窒息)・板海苔(貼り付く)・熱いさらさらの汁物(むせやすい)
口腔乾燥対策
- 口腔保湿ジェル 1本+予備ごく少量(米粒から小豆大ほど)を舌や頬の内側に薄く伸ばす。塗る前に、前に塗ったジェルを湿らせたガーゼやスポンジブラシで必ず拭き取る(重ね塗りは誤嚥・窒息の原因になることがあります)。のどの奥や上あごの奥には塗らない
- 洗口液はアルコールフリーの低刺激タイプにアルコール入りは乾燥を悪化させることがあります
- 唾液腺マッサージ(慣習的な方法・次善策)耳下腺(頬を後ろから前へ円を描く)・顎下腺(あごの骨の内側を軽く押す)・舌下腺(あご先の真下を押し上げる)
- 水分は「こまめに少しずつ」トイレを心配して我慢しない。ただし、心臓・腎臓(透析を含む)・肝臓の病気などで主治医から飲水量を指示されている方は、その指示を優先してください。
避難所での1日のケア
- 朝食後:歯磨き→少量の水でうがい(15ml×2回・自分で吐き出せる方のみ)。義歯は外して拭き洗い
- 昼食後:うがい(自分で吐き出せる方のみ)+口腔用のウェットシート(アルコールの入っていないもの)で歯の表面を拭く。乾く人は保湿ジェル+マッサージ
- 就寝前:1日で最も丁寧に。歯磨き→舌・粘膜の清掃→うがい(自分で吐き出せる方のみ)→保湿。義歯は水を張ったケースで保管
- 週1回:口臭・舌の汚れ・口内炎・むせの増加をチェック。悪化していれば巡回歯科班・救護班へ
※ むせやすい方、寝たままの方、自分で吐き出せない方には無理にうがいをさせず、口に入れる水は最小限にしてください。シートやガーゼで拭くときは指に巻いて端を必ず口の外に出したまま持ち、口の中に何も残っていないか毎回目で確かめてください。介助で行う場合、噛む力が残っている方、口に触れると強く噛み込む方、認知症のある方、自分で吐き出せない方には、指や布を口の中に入れる方法は行わないでください。唾液腺マッサージは慣習的に紹介されている次善策で、臨床的にどの程度意味があるのかは明確ではなく、水分補給や保湿の代わりにはなりません。食事中に毎回むせる・痰が増えた・微熱が続くときは誤嚥性肺炎のサインのことがあります(高齢者は高熱が出ないことも多い)。救護班・保健師にすぐ相談してください。息がしにくい、飲み込めない、口が開かない、出血が止まらない、意識がもうろうとする——このようなときは、ためらわず119番に連絡してください。
発行:お口の防災プロジェクト(一般社団法人日本オーラルヘルス協会)
本資料は起草版 v1.0(2026年7月起草・学術監修進行中)です。出典一覧は完全版に掲載しています。
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