本文へ移動⚠ 熊本地震で被災された方へ — 水がなくてもできる歯磨き・入れ歯の対処(軽量ページ)

RESEARCH AGENDA

まだ分かっていないこと

災害と口腔の関係は、現場の経験としては共有されていても、 検証された数字として示されているものは限られています。 ここに挙げるのは、当プロジェクトが取り組みたいと考えている問いです。 結果ではありません。

このページの位置づけ

いずれも、実施が決まっているものではありません。 問いの立て方から相談させていただきたい段階のものが含まれます。 「この方法では答えが出ない」というご指摘も歓迎します。

テーマ 1構想中問いの立て方から相談させてください

レセプト等の大規模データによる、災害前後の地域比較

明らかにしたいこと

大きな災害の前後で、被災した地域と、被災しなかった地域とを比べたとき、肺炎・誤嚥性肺炎・歯科受診・救急受診・要介護認定の申請に、どのような差が生じるか。

なぜ必要か

災害と口腔の関係は、現場の経験としては共有されていますが、地域単位の数字として示されたものは限られています。政策に反映させるには、規模のある比較が要ります。

想定している方法

  • レセプト情報・特定健診等情報データベースなど、既存の大規模データの利用を検討する
  • 被災地域と、人口構成の近い非被災地域を対照として設定する
  • 発災前後の同じ月を比較し、季節変動の影響を減らす
  • 災害の規模・断水期間・避難所の設置状況で層別する

見たい指標・比較する項目

  • 肺炎・誤嚥性肺炎による入院と外来の件数
  • 歯科の受診件数と、その内訳(応急処置、義歯関連、歯周治療など)
  • 救急搬送の件数
  • 要介護認定の新規申請と区分変更
  • 口腔に関連する疾患の受診

現時点で分かっている難しさ

  • データの利用には申請と審査が要り、時間がかかります
  • 肺炎と誤嚥性肺炎は、データ上で明確に区別できないことが多いとされています
  • 被災により受診できなかった分は、数字に表れません。受診が減ったことが健康の改善を意味しない点に注意が要ります
  • 被災地から転出した方は追跡が難しくなります

こんな方のお力を借りたい

  • 大規模医療データの解析に携わっている研究者
  • 疫学・生物統計の視点からの助言
  • データ利用の申請手続きに詳しい方
テーマ 2設計中方法を詰めています

避難行動要支援者名簿と個別避難計画に、口腔の情報は入っているか

明らかにしたいこと

市町村が作成する避難行動要支援者名簿と個別避難計画に、義歯の使用、飲み込みの状態、服薬、医療機器の使用といった情報がどの程度含まれているか。自治体によってどのくらい差があるか。

なぜ必要か

会議で、自宅にとどまる要支援者に支援が届きにくいことが最大の課題として挙がりました。計画に情報が載っていなければ、支援する側は状況を知らないまま訪問することになります。

想定している方法

  • 公開されている様式・要領を収集して比較する
  • 様式に含まれる項目を分類し、口腔に関する項目の有無を整理する
  • 地域差の要因(人口規模、高齢化率、過去の被災経験など)を検討する
  • 可能であれば、作成に関わる担当者への聞き取りを行う

見たい指標・比較する項目

  • 義歯の使用に関する記載欄の有無
  • 飲み込みの状態に関する記載欄の有無
  • 服薬情報の記載欄の有無
  • かかりつけ歯科医院の記載欄の有無
  • 家族・支援者の役割の記載
  • 計画の作成率と、更新の頻度

現時点で分かっている難しさ

  • 様式が公開されていない自治体があります
  • 名簿と計画には個人情報が含まれるため、中身そのものは扱えません。様式の比較にとどめる必要があります
  • 様式に欄があることと、実際に記入されていることは別です

こんな方のお力を借りたい

  • 自治体の防災・福祉部門の担当者
  • 個別避難計画の作成に関わっている方
  • 行政学・公共政策の視点からの助言
テーマ 3予備調査中小さく始めています

全国の災害歯科マニュアルの横断比較

明らかにしたいこと

全国で作られている災害歯科の手引きは、何を書き、何を書いていないか。持参物、活動開始の時期、診療と保健活動の区分、記録の方法などに、どのような違いがあるか。

なぜ必要か

手引きは各地で個別に作られており、横断して比較したものが見当たりません。共通して書かれていることは合意事項として扱え、書かれていないことは検討の余地がある領域だと考えられます。

想定している方法

  • 都道府県歯科医師会、自治体、大学、学会、病院、支援団体が公開している手引きを収集する
  • 比較のための項目表を作り、同じ枠で読み取る
  • 記載の有無だけでなく、記述の粒度も記録する
  • 収集した資料の一覧を公開し、追加の情報提供を受けられるようにする

見たい指標・比較する項目

  • 支援に持参する物品
  • 備蓄すべき品目と量
  • 活動を開始する時期の考え方
  • 支援の体制と指揮系統
  • 歯科診療と歯科保健活動の区分
  • 対象者の考え方(避難所内/在宅/車中泊)
  • 感染対策
  • 記録の方法と様式
  • 医科・他職種との連携
  • 活動を終了する基準

現時点で分かっている難しさ

  • 公開されていない手引きが相当数あると考えられます
  • 版が新しくなっているものと、更新が止まっているものが混在します
  • 比較の結果が、特定の団体への評価と受け取られないよう、示し方に配慮が要ります

こんな方のお力を借りたい

  • 各地の手引きの作成に関わった方
  • 非公開の資料について、比較への利用を検討いただける団体
  • 災害歯科の実務経験がある方(読み取りの妥当性の確認)
テーマ 4設計中方法を詰めています

災害時の歯科関連備蓄の、標準的な考え方の整理

明らかにしたいこと

自治体、歯科医師会、歯科医院、個人は、それぞれ何をどれだけ備えるべきか。人口・高齢化率・避難所数・想定される災害の種類によって、必要量はどう変わるか。

なぜ必要か

備蓄の相談を受けたときに示せる、共通の考え方がありません。当プロジェクトのシミュレーターも、実務で用いられている目安を組み合わせたもので、根拠のある基準ではありません。

想定している方法

  • 既存の手引きに記載された品目と数量を収集する
  • 過去の災害で実際に使われた量の記録を探す
  • 規模による違いを説明できる算定の考え方を検討する
  • 案を作り、自治体・歯科医師会に意見を求める

見たい指標・比較する項目

  • 自治体が備えるべき品目と量
  • 歯科医師会が備えるべき品目と量
  • 歯科医院が備えるべき品目と量
  • 家庭が備えるべき品目と量
  • 災害の種類(地震、風水害、雪害)による違い
  • 人口・高齢化率・避難所数による必要量の変化

現時点で分かっている難しさ

  • 実際に使われた量の記録が、災害ごとに残っているとは限りません
  • 備蓄しても使われずに期限切れになる問題があり、量だけを示しても実装されません
  • 「必要量」を示すと、それが達成できない自治体の負担感につながる可能性があります

こんな方のお力を借りたい

  • 備蓄の実務に関わっている自治体の担当者
  • 過去の災害で支援に入り、消費量を記録している方
  • 物流・在庫管理の視点からの助言

共同研究のご相談

上のテーマに限らず、災害と口腔に関する問いをお持ちの方はご連絡ください。 データや資料の提供、方法への助言、共同での実施など、関わり方はさまざまです。 「この問いの立て方は間違っている」というご指摘も、そのまま価値があります。